お願い お願いだから…
「さぁ、おいで。フリオニール…」
「っや、よば…ないで…ッ!」
「愛してる」
「言わない、でぇ…い、わな…で…!」
「おいで、哀れな愛しき者よ。貴様には私を受け入れるしかないのだから…」
「いや…や、だぁ…!助けて…っ、だれ、か…」
お願い どうか、俺を此処から出して
「怯えているのか…?安心しろ。貴様を傷つけることなんてしない。貴様は、私のモノなのだから…一生、大切に愛でてやる」
「やぁ!…っふあ、誰か、ぁあ!」
「愛している。愛してる…あぁ、こんなにも深く堕ちる事が出来るものなのか…」
触れないで その瞳が紡ぐ真実が恐ろしい 壊して欲しい 総てを 今を
「皇帝、お願い、だから…もう、…やめよ、う…?」
「本当の言葉を、私は永遠に、貴様だけに捧げよう。これ以上、何も要らない」
「ちが…ぁ、違う。これは、違う!これは、真実じゃない…ちがう…」
「何も変わりない…総ては不変。今までも私は、貴様を愛していた。そう、これが…真実だ」
壊れないで 憎んでいたあの想いを消さないで 指先が彷徨う先に辿り着く場所は、紡がれる口元 声に出させて この願い こんな世界、望んでいたわけじゃない
「声を嗄らしても構わない。涙を枯らしても構わない。フリオニール…貴様が、居れば、それでいい…」
「っかし…い、って!おかしいよ、こんなの…間違ってる…!」
「その思考すら、総て…我がモノよ…」
「い、やだぁ!やぁあああ!!」
暗い 終わる世界 こんな、歪んだ望み 重すぎる愛情 こんなこと、する人間じゃなかったのに… いつから? 戻れたら、今が変わる? 救われる…?
「愛してる、フリオニール。もう私以外、貴様を愛する者など誰も居ない。私だけが、唯一の救い、なのだから…」
「っこ、うて…い…ッ、もう…やめて…ぇ…!!」
その涙が愛おしい 狂い始めたフリオニールが、こんなにも惨めで、哀れで、私を沸き立たせる 光を纏うフリオニールは、私の敵 その光を闇が犯せば、光はどうなると思う? 光とは弱いもの 一度壊せば、もう後戻り出来ない位深く、沈んでいくだけ
あぁ、目の前で哀願している愛しき者 もっと、壊れていくとどうなるのか 私の愛情に耐えられるのか この先が楽しみで仕様がない
「ふぅ、あ…たす、助け…てぇ…。だ、れか…ぁ…」
「そう。もっと懇願しろ。もっと泣き叫べ…」
「っやあ!ぃ、あああ!!!」
「この体内は、既に闇に冒されているのだ。私の闇で、な…」
「いやぁ…もう、消さない、でぇ…ぁああう!!」
「愛しているから。総てに我が所有の証をつけなければな?」
「ふぁあ!熱い…!もう、無理…ぃい!!も、こ…ていの…モノ、だからぁ…!」
「…そう。貴様は私のモノだ。解っているな…?」
「…っお、れは…こうて…の…ッ、もの…」
笑いあえた過去 崩れていく日常 夢見ていた未来 総ては今の為 この時の為に用意されていた犠牲 フリオニールは私の罠に疑いもなく嵌っていった それが運命 もう、放しはしない いつかフリオニールに、我が子を孕ませよう 私の手に掛かれば造作も無い きっと、フリオニールは嫌でも感じるだろう その子に抱く、愛憎を その表情こそが、何よりフリオニールを美しくさせる あぁ、全く。本当に楽しみで仕様がない…
死も、生も、声も、吐息すら…総て、私の管轄下 何をする事も許さない 居るだけで、ただそれだけでいい
これが、私の愛情だ
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皇帝サマの愛情表現にスポット当てたら救えない話になってしまった…
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