フリオニール 仲間が俺の名を呼ぶ いつものお馴染みメンバー…ジタンとバッツだ 腕を振ってこっちに駆け寄って来るようだ 俺も笑顔でアイツらを出迎えよう そう思って距離を縮めるべく俺も駆け寄る
ふと、バッツが脚を止める …どうしたんだろう? 声を掛ける前に、崩れ落ちるように倒れたバッツ… 一体何が…?
よく見るとバッツの胸辺りが真っ赤に染まっている そして、拡がりつつある赤い池 何が…何が起こったのか…?
俺は脚を止めた そして、今もなお、歩み寄って来るジタンに、止まれと叫んだ 首を傾げてなんでだよ、と言いながら走るジタン
止めろ!止まるんだ…!
叫ぶより早く、ジタンの身体が天高く舞い上がった… まるでスローモーションでも見ているかのような錯覚
ジタンは下から突き上げられるように、身体の中心…腹部辺りから見事に貫かれていた あの、見覚えのある、杖で…
ジタンが何か言おうとしていたのだが、それよりも… ジタンの血が滴り落ちて、金と紫の髪と白い顔に、赤く染まる…その姿 見間違えるはずが無い
皇帝が…刺してるんだ…
「皇、帝…っ!貴様…!!」 「哀れな道具…直々に私が手を下す事に喜べ」
ジタンの周りに、黒い魔法が円状に浮かぶ まさか…
「や、やめろぉぉおお!!!!」
爆発音と共に、ジタンの身体が宙に舞う どさっと墜ちたその身体はピクリとも動かない…
その様子を見て、俺も動けないで居た 助けに行けなかったとか、勿論悔しいのだが、それよりも…
「さぁ、最後は貴様一人だ。…フリオニール」
恐怖で、身体が動かなかったんだ…
「…ぃ。お〜い!大丈夫か〜?」
「…っえ…?」
ふと気付けば、目の前にジタンが手を振っている …ジタンが、無事でいる…?
「もしも〜し?どうしちゃったんだよ、フリオニール?何処か具合でも悪いのか?」 「そりゃ大変だ!何処か休めるとこ探さなきゃ!」
生きている…二人とも… じゃあ、さっきのは…夢?
「…二人とも…本物、だよな?」
「…はぁ?何言ってんだよ。やっぱおかしいぞ?」 「ま、フリオニールがおかしいのは前々からだけどね〜」
はは、と二人とも俺の前で笑っている 何の変哲も無い、いつもの風景 クリスタルを探している旅の途中 …何も変な所なんて無い 何だ、夢…か
「ほら、行くぞ!」 「あ、あぁ…」
ジタンとバッツが俺の少し前を歩く 二人とも生きているし、怪我なんてしていない 平気なんだ
…それなのに、どうしてもあのビジョンと重なってしまう 貫かれた身体が地面へ墜ちていく音 血飛沫をあげる二人とも その口は、逃げろと言っていて…俺は何も出来ずに居た あれは、本当に夢? 余りにも現実味を帯びた夢だった…
…否、忘れよう あれは、この混沌とした世界が見せたものだ あんなことにならないよう、心がけろって言う、忠告なんだ 正夢になんてなってたまるか…! そう、俺は自分に言い聞かせた
そんな夢すら忘れ去ろうとしていた時、あるイミテーションに会った
それは、俺だった
丁度誰も居ないとき、そいつは壁からすり抜けて現れた
「…おいおい。随分嫌なイミテーションだな」 『……本当は、理解している』 「…?」 『忘れたくても忘れられない過去があること』
「――――!!?っお前…!?」
俺は思わず身構えた 何故? こいつはきっと、あのことを言っている…
『何時でも心の何処かで探している。求めている』 「…やめろ」 『メチャクチャにされた快楽に溺れた時のこと、身体が覚えている』 「やめろ!!」 『あの時お前は、随分悦んでいた…』 「やめろぉおお!!!」
俺は剣を抜いて、ひと息に斬った じゅう、と消えていく俺の幻想 あいつの発した言葉が甦る
悦んで、いた…
「…違う。俺はあんなこと望んでなんかいない!あれは只の幻だ」
忘れていた筈なんだ あれは確かに起こった現実 信じ難い、在るべきはずの無い真実
拒絶して、過去に置いて来たはずなんだ あれは…確かに…
「なんかさ、最近思うんだけど…」 「…ん?」 「なんかこう…重い視線を感じない?悪意のような、何か思念を感じる視線」
バッツが言った一言 それが如何してか俺に動揺を与えた
「あ、それオレも感じてた!なんか変な気なんだよな〜…」 「…変?」 「そう。あの感じ…殺意と一緒に獲物を狙うような舐める様な視線なんだよな…」 「ゾクってするよな!オレ、誰かに狙われているんじゃないのかな〜?」 「無い無い。…ほら、バッツなんて放って置いて、さっさと行こうぜ。…フリオニール?」 「…あ、あぁ。そうだな。」 「…顔色悪いけど…この間から変だし。なんかあった?」 「…え……?」
言える訳が無い だって俺は、あの夢でお前たちを救えなくて、俺はあの夢の中でも……
「ぐ、あぁああああ!」
バッツの悲鳴が響き渡った
振り向いたらバッツが地へと倒れこんだ
あの、黒い球体が、周りを囲んでいる… …そんな…
「群がって行動など、居場所を知らせるようなものではないのか?」
あの声が、俺の身体を芯から冷えさせた
「皇帝!お前、よくもバッツを…っ!」 「待て、ジタン!!」
ジタンの腕を掴むより早く、ジタンは双剣を構え一気に皇帝に向かって突撃した 駄目だ!行くな!
このままでは、夢と同じに…!
「夢と思うのは自由。しかしそれを幻想と思うのは間違っている」 「―――――――っ!?」
夢と違ったのは、皇帝がジタンを振り払って叩き付けたに止まったこと それでもジタンは動かない 助けに行きたいのに、皇帝の眼が俺に向いているだけで足が出ない 魔法なのか。或いは、俺のシグナルがそうさせているのか
「貴様が受けた快楽…忘れたとは云わせんぞ…?」 「っ!あ、あれは…!」 「現実だ。揺ぎ無い真実。貴様は私に、刻まれたのだよ」 「…っ」
突き上げられた痛み 掻き回される圧迫感 吐き出された快楽に呼び起こされた悦び 俺はあの日…皇帝に…
「選ぶがいい」 「…?」 「私の誘いに乗るか、仲間を見殺すか…まぁ、答は出ているがな…」
誘い… 容易に乗るわけにはいかないが、今の状況からして大人しく従うのが最良 だが、何を企んでいるのか… …もしかして、またあのような事を…?
「…返答は?」
射さすような視線 震える唇を必死で動かして、俺は答えた
従う、と
夢と同じ 囚われた俺は、暗く大きなその寝台しかない部屋で、無様に脚を拡げられて 侵入するための器官になったそこに、猛り勃った皇帝のを埋め込まれて 抵抗すら魔法で抑えられて、ただ啼くだけ
「ぃやだ!ぁああ゛ぁああ!!」 「いい声だ…っ。もっと、叫べ…!」
暗くて大きなその部屋は、寝台しかなくて垂直に挿してくる皇帝の金糸の髪が、俺の腹部に擦れて、それすらも気持ちいい快感になる イきたくても、魔法で尿道を塞き止められていて吐き出せないもどかしさが身体中を襲う 両手は、皇帝の突き上げてくる衝撃を少しでも抑えたくて必死にシーツを掴む
上下に動く視界 吐き出される呼吸さえ、それに合わせて繰り返し…
「こ、って…ぃ、ひぃ!」 「…フリオニール。もっと、もっと私を求めろ」 「…!だ、れが…!!」 「跪き私に哀願しろ。…もっと壊して、とな」 「ばっ…!?ッひぐぅ!嫌ぁああああ!!!」
受け入れているそこに、あろうことか指を挿れ込んできた 切れる痛みが広がる 目の前がチカチカする…
「言葉を選んで発言するんだな…この状況を考えろ。貴様を仕込むなど容易いのだからな」 「だ、せ…ッ!っあぁああ!ぅあ、ああああ゛ぁあ!!」
狭い中で曲げたり根元まで突っ込んだりしている指先に、感じたことのあるモノを感じた
「また、闇を注ぎ込んでやる…」
じわじわと押し寄せる苦しさ あの時の痛みが再び甦る 光が消えていく感覚 皇帝に、染まっていく身体 助けて欲しい… 誰か…
「っ、んぅ…!?ふぅうう!!」
意識が朦朧とする中、皇帝が噛み付くように口付けをしてきた 口を開き、乱暴に舌が侵入してきて俺の咥内を暴れる 唾液が入ってきて俺のと混ざる まさか人のを味わうとは思いもしなかった 溢れる唾液が音を立てて、ぐじゅぐじゅと聞こえる 眼を開けると皇帝と目が合った その眼はどこか熱が篭っており、とても普段の皇帝には想像出来ない表情をしていた
「こう…てっ…」 「…私を、求めろ。フリオニール」 「助けっ、はぁ、う…!」 「私と共にイけ」 「や、いやああぁああ!!」
闇に染まるフリオニールには、皇帝の想いなんて考えもつかなかった
******
続編、みたいな? 脳内で鬼畜な皇帝と甘い皇帝がケンカしてるんだ! 本当はもっとのばらを虐めたいんだ!(…
[PR]動画
|