気付いて。 私はもう限界なんです 逃げるなら逃げて欲しい。 求めていいなら許して欲しい。 私はもう限界です…
「こんにちはホウ統。」 「…お前さん、仕事は?」
またホラ、呆れた顔して苦笑いして、私を許して。 好きな笑顔。 好きな声。 今は布で隠されたその下の好きな顔。 全て、私が求めているもの。 上から覆いかぶさるように抱き締めるとビクンと反応して、可愛い。 肩越しに困ったような上目遣いで私に視線を送る。 そんな表情して、どうしましょうか。
「ねぇ、ホウ統?」 「なんだい?」 「私ね、ホウ統のこと好きなんです。」 「はいはい…。そういうことは嫁さんに言いなさいな。」
そうやって交わすのが上手い愛しい人。 ねぇ。こちらを向いて?
優しくて誰にも頼られる人に成りきる私。 知っていました? 私は貴方に心許されるためにこうして演じてきたのですよ。 知っていました? 私の心が黒く淀んでいるのをこうして隠すことで貴方と対等に立てたのです。
でももう、限界です。
月も高く昇って、夜が更けていくのを空気で感じて。 私は私室で、ホウ統から受け取った書簡を読む。 独特の、それでいて綺麗な文体をゆっくりとなぞる。 これを書いた、これをホウ統本人が書いてる姿を思い浮かべる。 愛しい姿を、声と一緒に合わせて… どうしようもなく逢いたくなるのを震える心に押さえ込む。 私は本当に、酷い人間なんです。 貴方をどう想っているとおもいますか? この手で組み敷いて、その服を破り捨てて唇を貪って、貴方の体内へ侵入して犯して。 想う毎に貴方を汚して踏み躙っていた。 私は獣の本心を隠した偽りの顔を持っているのですよ。
「ねぇ、ホウ統。」 「なんだい?」
いつもの朝。いつもの軍議。 顔を合わせて挨拶をして、ずっと貴方だけを目で追う。 私みたいな人に好きになられると大変だな、と自嘲する。 それでも止められないのです。 私は貴方が欲しい。 だから私は本性を現しましょう。 逃げても無駄。本気になって追いかけますよ。
「賭けをしませんか?」 「…賭け?」 「ええ…貴方は逃げて、私は貴方を求めるから。この想い、本気だということ、わからせて差し上げますよ。」 「……しょ、諸葛亮?お前さん、何言って…っ。」
怯え始めた貴方を私は…
「もう、フリをするのは飽きました。 そろそろ…本気になっても、いいですよね…?」
全ての仮面を外して本当の自分を曝け出した。
お題「ままごと」
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諸ホウはなんだかいつもパターン似ているなぁ… もっとこう、じわじわ寄り来る怖さっていうのを出したい!
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