お前さんはズル賢いと思う あっしがこんなに焦らしているってコト、気付いているんだろう? 判ってて、お前さんはあっしを試している どんなに背けたい状況で、複雑な心を、踏み躙って侵入してくる ホント、お前さんはズルいよ…
ふと、風に煽られて空を見上げる 澄み渡った冬の蒼 どこまでも続く天に伸び行く雲 鳳雛なら、この空を飛び立っていけるのだろうか? 羽根を捥ぎ取られる事無く、誰にも捕まる事無く… 保証の無い、自身だけの世界 それはきっと、寂しい世界 一人で過ごす時間が長いほど、人は人を失っていく 喜びも、悲しみも、愛も夢も…遠い昔に置き去りにして歴史は進む
あっしは… あっしは既に、置き去りにされているのだろうか? ここにいても、彼がいれば事足りる ―ほらまた、そうなる …あっしは… 「本当に、飛べないんだねぇ…」
「ホウ統!」 軍議が終わって自室に戻ろうかと思っていた所に、今や不可欠な同僚が声を掛けてきた 「諸葛亮…?」 振り向いてみれば、何やら表情が怖い …何か悪い事でもしただろうか? どうしたのか、と聞く前に諸葛亮の言葉に遮られた 「殿にここを出て行くと、篭ると言ったのは本当ですか?」 あぁ…殿ったらもう…一番厄介な人には教えなさんなってあれ程言ったのに… しかもあれはいつか、の話だ。今はまだそんな事考えていない… 「あ〜…まぁ、そうだねぇ。そろそろいい歳だしね。平気さ、蜀にはお前さんがいるだろう?」 ちょっと冗談を言うつもりで軽く嘘をついてみた 諸葛亮はあっしの言葉により一層、眉間に皺を深くする ありゃ、受け入れないって顔だね 一体如何したら冗談だって分かって貰えるかね…なんて、呑気なこと考えてたら諸葛亮に腕を引っ張られた 「ちょ、ちょいと!何処に行くんだい?」 あっしの質問には無視して、何処かに向かう足取り 延々と説教、かねぇ… これから起こりうる事態を考えて、溜息を一つ、ついた
辿り着いた先は、書物庫 今は使われていない戦術や記録を書き溜めた場所 確かに、人目につかず話し合うには適格な場所というわけ だけど部屋に入ってからというもの、相手は一言も話さない なんとも気まずい空気だ… ここはあっしから謝るべきなのか…?
「ホウ統」 重い声が耳を貫いた これは、機嫌が悪い証拠だ 「…なんだい、諸葛亮」 「私は、…許しませんよ…」 「…は、なんて…っ?」 独り言のような言葉をもう一度と言おうとした所で、諸葛亮に両手首を押さえられ口付けされた
「ふ!んんぅ…?」 いきなりの展開に頭が付いていかない 驚きの余りあっしは瞳を閉じることも忘れて、諸葛亮と目が合ってしまった 「…っ、ん!ふぅう…ん!!」 なんて怖い目。視線で人一人殺せそうな威力がありそうだ そんな目に捕まってしまい、離すに離せなくなり尚も口付けは深くなるばかり… あぁもう、きっと怒っているのだろう、彼は… 相談も無しに勝手に決めて、あわよくば何も告げずにここを出て行こうとした事に 普段は大人なのに、こういう時に限って諸葛亮は子供みたいになる そう、子供染みた執着 「ぁふ、ちょ…諸葛、りょ…、しぬ、って…」 荒々しい口付けには息を奪う事しかなく、飲み込めない唾液が溢れ出る あっしの咥内を荒らしまくっていた諸葛亮の舌がやっと出て行った ―信じられない…。一体この身体の何処にそんな肺活量があるのだろうか?諸葛亮は平然としていた
「お、お前さん…、あっしを、殺す気かい?」 冗談で言った言葉に諸葛亮は一瞬呆けた顔をしたが、瞬時に黒い笑みに変わった 「ええ。殺す気です」 満面の黒い笑顔 …これには絶句だった 「こ、ろす気って…」 「私に黙って出て行く?そんな勝手な事するようでしたら手段を選びませんよ、ホウ統。私から逃れるとでもお思いで?」 とてつもないどす黒いオ―ラが出ていて、何とも台詞と表情が一致しない顔をしている目の前の笑顔の男 今日ほど諸葛亮を怖いと思ったことは無いだろうね、きっと 本気で逃げ出して、助けを求めたかった だけどそうさせない威圧をヒシヒシと感じるこの身体 「…しょ、諸葛亮?ぁああんしんしなさって!あっしは何処にも行かないよ。じょ、冗談だってさ」 「…冗談?」 「そ、そうさ。ちょっとお前さんをからかっただけで…」 「ならばホウ統、貴方は殿にまで嘘を付いたと?」 「………」
まずい。弁護の仕様がない だから諸葛亮には知られたく無かったんだ こうなるって、目に見えて分かってたから…
「ホウ統?」 「は、い…」 「そういうイケナイ子には、身を持って罰を体験して頂かないと、ね…?」 「…っっ!!?」 ここは書物庫 外の廊下には人がいる 今は昼間、将軍達は鍛錬中 そんな最悪の状況下で、鬼畜軍師と二人きり
…神様、どうかあっしに明日を下さい…
〜おまけ〜
「ひぃ、ああ…やだ、ぁ…っ!」 「さぁ、ホウ統。その口で、謝ってみなさい?」 「ごっ、ごめ…っ!っは、ア…ふあ、ぅ…」 「おやおや…気持ち良過ぎて言葉が出ませんか?ならばコチラの口で私を歓ばせて下さい」 「っ!?や、あああぁああ、あ!」 受け入れている蕾をより一層拡げて指を挿れてくる そこから零れるのはあっしを組み敷いている諸葛亮のもの 言葉攻めに部分攻め、仕舞いには口付けの攻撃 身体はもう痕だらけだ こりゃ絶対、明日使いもんにならない身体になっているだろうなぁ…と思っていたら 「何か考えていられるほど、余裕があったのですか…」 何を勘違いしたか今までのより動きが早くなった 金輪際、諸葛亮には嘘、冗談を言わないようにしたのは言うまでもない
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無双5に触発されて再熱の諸ホウ。諸葛亮が変態だ |