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ある戦の最中で少々事件が起きた
秀吉軍が苦戦しているから援軍を遣して欲しいと言う伝令が、殿の下にではなく光秀の下に届いたのだ
伝令を伝える者が途中奇襲を受け、辛うじて逃れついた軍が光秀軍
だった
伝令を訊き、光秀はこの場から殿へ伝えに行くより自ら秀吉軍へ援軍として往くほうが効率が良い。光秀はそう独断で判断し、周囲の忠告を振り切って自身が戦場へ向かったのだ
当然、光秀が担当していた地域の戦況が荒れ変わった事により、普段の戦場では滅多に有り得ない[光秀軍苦戦]の知らせに、信長は気を留めた
…結果、一応秀吉、光秀両軍、最悪の事態には陥らなかったが重傷者が多かった。死亡者が居なかったのが不幸中の幸運か
其の宵、軍議が開かれ主将軍達が招集された
―――当然今回の戦について、だ
「何故だ光秀、何故信長の下に伝令を届けなかった?」
低い声で囁く信長。余り機嫌が良い時ではない事を知らせる
胡坐を掻いている周りの将軍達の視線が一気に光秀と秀吉に注がれる
「…其れが一番迅速に救援に迎えると判断致しました」
光秀は説き伏せるように一気に云うと頭を深く下げた。信長の視線は秀吉へと移る
「猿。光秀が援軍に来た後、再び伝令を出さなかったのは何故だ?」
鋭い視線に秀吉は怯えを見せながら口を開いた
「は、はっ。そ、それは……」
「私が制止致しました。此方の軍で伝令を致しますと云いましたが」
「…その余裕さえ無くなった、と」
秀吉は此れ以上無いってくらい頭を下げ、光秀は先程と変わらぬ高さで表情を隠している
扇子を肩で乗せ叩く其の動作で、信長は少し立腹している感じが痛いぐらい伝わって来た
「とっ、殿!全ての元凶はこの猿が油断した事によるものであります。罰するなればどうかこの猿めに!」
きっと光秀にも被さって来るであろう火の粉を払うかのように、深々と頭を下げる。まるで親に怯える叱られた子供のようだ
「…秀吉殿」
「……そうだな。猿の軍が元凶なれば其の主が責任を取らねばな」
不適に哂う信長。一体どんな酷な仕置きが待っていることか…
そう、他の将軍が静まり返っている其の場を、光秀の通る声が響いた
「信長様。私も受けまする。どうか秀吉殿を酷く罰しないで下さいませ。元々初めから殿の下へ伝令を届けていれば此処まで被害は大きくならなかったでしょう。殿を気に留める要素も発生しませんでした。なれば独断で判断した私が責任を取るのが筋です」
誰もが光秀を見た
何故己が身を守ろうとしないのか。猿に擦りつけておけば良いものを…
そう思う者が此処にはいた
「…そうか。光秀、お主一人が受けると申すか。なれば…、信長を求めてみよ」
光秀の眼が大きく開かれた。秀吉も一気に顔を上げ、信長を見た。周りの将軍も同じく…
求めてみよ…つまり誘ってみよ、ということか
秀吉は光秀の方を見た。光秀は眼を瞑っていた
「…申し訳御座いません。私には其の術を持ち合わせて居ないもので…」
「ほぅ、義明の下ではそういうことをしていなかったのか…あの者は其れの興味を持っているものだとばかり思っていたからな」
ククッ、と哂う信長に対し、光秀は可哀想なくらい俯いて赤くなっている
「なればより一層楽しめるというもの…教えてやろう。この後天守閣へ来るがいい。其処で抱いてやろう…」
「み、光秀殿…」
「――秀吉、殿…」
軍議が解散した後、残ったのは秀吉と光秀だった
呆然と座りつくしている光秀を、誰もが哀れみの表情で一礼し去っていった
「申し訳ござらん…!!ワシが不注意なばかりにこんな目に」
「…いえ、私にも非があります故…仕様が無いですよ」
「あの、不躾な質問ですが…あの言葉は本当に…?」
「ええ。私は今まで経験が…女性とのすら其処までは…」
秀吉は額に手を置き天を仰いだ
きっと殿は手加減無しでくるだろう。しかも最近不仲と噂の光秀殿が相手。躾けるには持って来いの場面だ
しかし其れを止めれるほど自分には力も権力も無い
犠牲が必要な時なのだ
秀吉はただ、光秀に頭を下げるしか出来なかった
服が破れる嫌な音がする
「っや、お止めくださ、……っああ!」
「フフ…敏感な身体よのぉ…そんなに気持ちいいか?光秀」
動く手。触れる指先。初めて感じ受ける強い快感
開かれた着物と、光秀の長い髪がまるで黒い華のように散っていた
信長の利き手が一番敏感な処に触れ初め、光秀は必死に抵抗をした
「や!…と、とのっ、ふぁあっ…!!」
触れるだけで反応し始める其れを執拗に攻め、もう片方の手で光秀の細い腰を掴んだ
零れ始める液が信長の手を汚し、水音が聴覚を狂わす
「光秀。一度出してしまうといい…これからが長いのだからな…」
先端を爪で引っ掻き、光秀は声を高く挙げて果てた
休む暇を与えず、腰を高く抱えて信長が歪み哂う
「は、はっ…の、ぶな、が様…?一体、何を…」
「男はな、此処を女にして使うのだ…」
此処、と示した処を信長は舌を這わした
「ひぃ、いやあぁあっ!!そ、そんなっ、処を…!」
「慣らさなくては痛いぞ?それで無くともこんなに硬いのだ…安心しろ。十分に解してから愛でてやろう…」
動く身体の内部。自分の物では無いような感覚…
視界が定まらない…
「…あぅ、は、…あぁあ、ふっ」
注ぎ込まれる精が、既に繋がって長い時が経っている其処からグチャグチャと音を立てて零れ絡まる
光秀の身体の中に信長の精が交ざり、快楽を引きずり出す
信長も気持ち着物を羽織っている程度で、身体と身体がぶつかり合う
最中何度も交わした口付けの後が、口周りに糸を引いて残っていた
「光秀…美しいぞ。黒い蝶みたいにっ、繊細で、美しい…っ」
「はっ、のぶ、ながさ…ま。…もう、も…」
「…苦しい、か?なれば共に、ゆこうぞ…っ」
動きを早め、既に限界を超えている互いの身体が悲鳴を挙げる
それでも止まらない。欲する望みが、高みへと連れて行く
「っああぁあぁぁ!!」
「みつ、ひで…っ!」
白くなる世界で、光秀は目の前で二匹の黒い蝶が舞っている気がした
黒蝶
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